レバーの引きが軽くなるコーティングインナーワイヤー

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レバーの引きが軽くなるコーティングインナーワイヤー

ブレーキワイヤーにも数多く種類はあれど、以前から気になっていた「コーティングインナーワイヤー」。
普段は何気なくシマノのステンレスインナーワイヤーを使用してきましたが、「普通のインナーワイヤーと比べてレバーの引きの軽さが一体どのくらい違うんだろう」と言う点が疑問でした。


現行のシマノ上位ロードモデル(9000(DURA-ACE)・6800(ULTEGRA)・5800(105)シリーズ)ではポリマーコーティングワイヤーが採用されており、非常に抵抗の少ないレバー操作が可能となっております。しかしそれ以前のブレーキでは私はコーティングインナーワイヤーを試したことがなく、以前のレバーでワイヤーの影響の比較をしてみたいと考えておりました。

この度ちょうど街乗り用に使っている愛車がワイヤー交換の時期を迎えた為、ブレーキワイヤーの交換ついでに普通のステンレスインナーワイヤーとコーティングインナーワイヤーでどのくらい引きの軽さが違うものなのかを調べてみました。

今回使用をしてみたコーティングインナーワイヤーはこちらです。

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上段がアリゲーター テフロンコートブレーキインナーケーブル。798円。(2015年3月現在)
比較は下段のシマノのステンレスインナーワイヤー。453円(2015年3月現在)。




コーティングワイヤーの方は黒色のコーティングがされており、手で触っても分かるほど滑らかですべすべしています。シマノのワイヤーもきっちりと滑らかにされておりますが、爪を立てると少し抵抗を感じる程度で差を感じます。

この時点で何となくコーティングワイヤーに期待が持てますね。

まずは、「単純にどちらの引きが軽いか」と言うことを確認するために、こんな実験をしてみました。

20150307_02.jpg

ブレーキアウターを中心におき、中に入り込む長さが同じ量になるよう両端からそれぞれインナーワイヤーをセットします。
その後両端のインナーワイヤーを水平に引き抜けば、抵抗の大きい方が引っ掛かってアウターに残り、抵抗の少ないインナーワイヤーだけが抜けるという実験です。

実験を行って見ると...


コーティングインナーワイヤーがスルッと抜けました。
インナーワイヤーの入り込み量やアウター先端の処理等の影響を考慮してインナーワイヤーを左右入れ替えて複数回実験を行いましたが、いずれも結果は同じでした。


もちろんここまでは予想通り。みなさんも期待していた通りだったと思います。
そして次に気になるのは、「コーティングワイヤーはどのくらい軽いのか」。ということ。

次に私は、下記のような準備をしてどのくらいレバーの握りが軽くなるのかを数値で比較できるよう確かめてみました。

まず、今回数値を測るのは一般的な吊りはかり。

20150307_03.jpg

ブレーキレバーでワイヤーを引っ張った時、どのくらいの重量をかければ引っ張ることができるのか。これを測定いたします。

使用するブレーキレバーはST-5600(10速105シリーズ)、
使用するブレーキ本体はBR-R505(ロード用ディスクブレーキ)です。

今回、かなり簡易的な実験装置ではあるのですが、実施の内容にばらつきが出ないよう
下記のような条件にすることで統一するようにいたしました。


・レバーとはかりのフックをひっかける位置がずれてしまうとかかる力が変わるため、一定の位置から引っ張れるよう、レバーにタコ糸を固定し、そのタコ糸をはかりで引く

・ブレーキキャリパー側において、インナー固定ボルトに固定する時のワイヤーの引っ張り量はゼロ(ワイヤーはぴんと張った状態で、キャリパー側の固定ボルトを締め込むだけ。)

・どの時点での力を計測するか統一するため、「変速レバーの黒い部分(シフトダウン用レバー)がバーテープに接触する位置で計測」に統一。

・ブレーキパッドはローターに当たらないようにする(純粋にレバーの引きだけで比較)

・ワイヤーの違いがよりわかるよう、ワイヤーを長く使用する後輪で測定

・アウターは交換しない(純粋にインナーの違いだけで比較)


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では早速実験を行います。

まずは交換前のブレーキワイヤーで計測。約1年半、主に雨天時の通勤や街乗りで使用しました。
握ってもインナーがアウターの中でゴリゴリっと当たる感触がわかります。

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実験結果は2.41kgでした。

次に、新品のステンレスワイヤーに交換をして実験をしてみます。
同じインナーワイヤーでもしばらく使用したものと新品で比較すると、汚れ等も影響していたのか、握った瞬間に軽くなったことを感じるほど違いを感じます。

20150307_07.jpg

実験した結果は2.19kg。やはり数値の上でも軽くなっていることがわかります。

そしていよいよ、コーティングワイヤーへの交換です。
ワクワクしながらセットし、まずはレバーを握ってみます。


...!!


明らかに今までと引きの軽さが違うことがわかります。これは数字でも期待ができるのではないでしょうか。

20150307_08.jpg

出ました!本日最も軽い2.03kgです。

古いワイヤーと比較すると、実験上の数値で約16%も軽くなっていることがわかります。
さらに、アウターの中に注油した上でインナーワイヤーを通して計測をすると、なんと1.90kgの数字が出ました。交換前と比較すると、約20%も軽くなっています。


ちなみに余談ですが、今回実験に使ったインナーワイヤーは「ロード・MTB兼用」となっています。これはどういうことかと言うと「両端のタイコがそれぞれロード用・MTB用となっており、必要でない方をカットして使用する」ワイヤーです。
これを上手く利用すると、こんなことも可能です。

20150307_09.jpg

分かりますでしょうか。

必要最低限の長さを合わせて切ることで、1本のワイヤーから2本分のワイヤーを得ることができるのです。
まさに一石二鳥!

この方法は使用する長さが短い前輪限定なのと、一方のタイコ形状は別物となるためどちらか一方のタイコに対応した自転車しか所有していない場合は使えないなど、役に立つ場面は限定されるのですが、知っていて損はない裏ワザです。

私はこの余ったインナーを、妻のシティサイクルの前輪ブレーキワイヤー交換に使用いたしました。


前後共コーティングワイヤーに交換が終わった愛車で実際に走行をしてみて感じたこと。
それはやはり「レバーの引きが軽い!」と言うことでした。
ブラケット部分を持った時も力いっぱい握らなくてもしっかりとブレーキングでき、これまで以上に軽い力での操作が可能でした。

ブレーキの引きが軽くなることで助かることは、スピードコントロールが容易にできるようになることはもちろんなのですが、「ブレーキを握らなきゃ」と強く意識をしなくても済むため、その分を運転や周囲確認に意識できるようになることにあるかと思います。

極端な話、目いっぱい握らないと効かないブレーキではブレーキング時に「握ること」に意識が集中し、その他のことには目が行きにくくなるかと思います。そんな状況では判断も遅れてしまいがちで、最悪の場合事故につながりかねません。

また、長距離走る時にはブレーキの引きが軽い方が当然疲れにくくなり、疲れた時なども必要以上に意識することなくブレーキをかけることができる為、安全上の対策としても有効であるかと思います。


これまで何気なく使用してきたブレーキワイヤーですが、今回の比較をしてみて改めてその重要性を実感いたしました。

これからメンテナンスや組立でブレーキワイヤーを交換・取付しようと思っている方、
コーティングインナーワイヤーを使ってみてはいかがでしょうか。



※今回の実験については、あくまで比較条件を統一しただけの簡易的なものになります。
使用するパーツやワイヤーの長さ、ワイヤーの取り回し等、使用条件によって数値は異なるため、実験結果を保証するものではありません。あくまで参考にお考えください。

関連ブログ
Vブレーキの調整
少ない力でよく効いて長持ち!ブレーキの引きを軽くするインナーワイヤーのすすめ その1
少ない力でよく効いて長持ち!ブレーキの引きを軽くするインナーワイヤーのすすめ その2

(Text:Yaromai)


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